2012/07/22

英語(と現代文)が苦手な受験生達へ

オープンキャンパスに行ってきました.

今年は入試制度が変わるので,学科の説明と,就職状況,それに入試制度について喋ってきました.

それで.

時間がなかったせいで,数人の直接話せた人たちにしか言えなかったのですが.

「英語が苦手なのですが,何をしていいのかよくわかりません」

という質問がけっこうありました.

個人的には,大学のオープンキャンパスでもなんでも利用して,ちょっと1時間くらいで喋りたい話題です.

自分が大学生になってから,英語を教えていて,ずっと思っていたことなのですが.

本当に英語が苦手なんだけれど,「わかりたい」という情熱を持っている学生はかなりいると実感します

もちろん,自分が塾やら予備校やら高校で教えていた時であれば,細かく色々と指示ができるのですが,大学教員という立場になってしまうと,けっこうこの手のことを話せなくてちょっと寂しいことになってしまいます.

残念ながら,多くの学校現場にいる先生たちは,この手の学生の質問に対して,

「単語帳を全て覚えなさい」

「授業をきちんとして,予習・復習しなさい」

「英文法書の分厚いやつ(e.g. Forest, チャート)を全て完全にやりなさい」

「総合問題集 (e.g. NextStage, Upgrade)をやりなさい」

といった苦行を押しつけることが多いのです.

これらの勉強がムダとは言いません.もちろん,それなりに意味のあることです.

ただし.

根本的な英語力がないのに,単語帳を見てもあまり意味はありません.あれだけで,単語が次々にインプットできる程,人の頭は単純ではありません.単語帳は,パラパラと眺めて,自分が「あ,これ見たことある」という項目を確認しながら,既存の単語知識を定着させるのに使うと効力を発揮するものです.語彙力のない人が,あれを見たからと言って,効力を発揮する類のものでありません.

次に,授業の予習復習ですが,単純に先生が教科書ガイドに沿って,和訳を述べるだけといった類の授業ではあまり意味はありません.英文を読むプロセスを明示的に言ってくれる授業でなければ,高校のリーダーの授業はそれだけでは効果が上がりません.

もちろん,最初から一定の学力がある人たちにとっての,演習の機会としての意味は否定しませんけれど.

次に,英文法書の分厚い奴は,言うなれば,文法項目の辞書みたいなもので,あれで英語を支える体系が理解できる人たちは少ないでしょう.

あの手の参考書は参照しながら使う物であって,最初から最後までやってどうこうというものでもありません.

最後に,総合問題集系のものですが,あれは知識問題の得点を上げる意味があるものであって,根本的な英語力をつけるのにたいした意味があるものでもありません.

現状を包み隠さず言ってしまえば,学校の多くの先生たちが

「英語の基礎をやりなさい」

と言ったときに,彼らの頭の中に英語力の基礎を作るものが何なのかという具体的なイメージは特にないのです.

私が英語力と言った場合,英文法という,言語システムを支える根本を使いこなせるように自分の頭の中が整理されていること,さらには辞書を使えば何をどう調べるべきかが自分の頭の中に入っている場合をイメージしています.

英語力の根幹になる知識は,英文を見たときに,中心になる主節の構造が分かり,かたまりを句や節というレベルで自分で区切ることができ,動詞句の主要な構造(SV NP to do ~, SV NP doing ~/doneとか)を自分で確認することができるというものです.

言語は,中心になる動詞句を元に,そこに修飾語句がぶつかり合うことで構造を作るというパターンを形成します.その手の,区切りを自分で見分けるための指針として英文法を使いこなせるようになるのが英語の基礎力です.

それができて初めて,先ほど列挙したような聞き慣れた4つの忠告が意味を成すようになるのです.

この手のプロセスを明示的に話せる先生が身近にいればそれでいいのですが,世の中そんなにうまくはいきません.

しかし,参考書を自分でやろうにも,英語の参考書は多すぎで「どれをやればいいのだか?」という状態になっている学生がほとんどなのではないかと思います.

私にも,それぞれの受験生の趣向に合わせて薦められる参考書は場合に応じていろいろと頭に浮かぶのですが,とりあえず,

「英語が苦手.でも,本当に分かりたいし,やりたいと思っている」

という高校生,受験生の人たちは,駿台文庫から出ている大学入試攻略基礎徹底そこが知りたい英文法基礎徹底そこが知りたい英文読解の2冊をとりあえず併用してやってみてください.

必要不可欠な知識を,演習問題を通じてきっちりと説明している良書で,しかも癖がないのでオススメです.大学で教えている立場としても,この本の知識をしっかりと定着して入学してきてくれるとありがたく思います(K塾の宣伝をしなくてすみません.K塾の参考書は,問題演習用のものに良書がたくさんあるかと思うのですが,基礎を一からというのはないかと).

ついでに言うと,現代文の基礎力を付けたいという受験生達へ.

この手の質問を高校や大学の先生に聞くと,すぐに

「本や新聞を読みなさい」

「天声人語を要約しなさい」

とかいう返事が返ってきますが,これもあまり意味はありません.

入試現代文は,一種の思想教育というか道徳教育という一面があって,さらには入試現代文を支える「規則」のようなものがあります.この手の「規則」は,それに熟知している人の分析に慣れることが一番です.さらに,現代思想の基本的な知識を身に付けてもらえれば,大学側の立場からすると御の字です.

昔からの定番参考書の一つですが,これは入試現代文へのアクセスが使いやすくていいのではないかと思います.昔から,「困ってどうしようもない」学生さんに薦めていますが,外れがありません.基本語彙もきっちりと説明してくれている良書だと思います.

というわけで,今年受験の人たちは,うちを受験するわけでなくても,しっかりと勉強してくださいね.分かればけっこう楽しいものですし.

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