2012/05/02

好きなもんは好き

この休暇は言語学に集中しているのだけれど(依頼論文に手をつけていなかったのと,最近は本務校で不毛な雑用に追われているので).

集中して論文を読んで,文章を書いていると,脳がグタッと疲れるのがよくわかる.

だいたい,普段はこの辺りの「筋肉」を使用していないし.

そういうわけで,頭だけが疲れると身体も使いたくなるので,程ほどに身体も動かし,という生活をしている.

なんだか,留学していた頃の平日のような感じである.(それで,頭が向こうにいたときに戻ったせいか,買い物中に人にぶつかりそうになった時に,思わず「sorry」と言ってしまった.脳内チャンネルが英語に変わっていたらしい)

それと,本屋さんの前で,村上春樹さんの1Q84がとうとう文庫化されたということを知り,とりあえず第1巻を買う.

きたきたきた.

愛読者ならもちろん,発売されてすぐのハードカバーを買っているのだろうけど,ハードカバーは高いし,何よりかさばるのが好きではない.

文庫本が好きです.

とても.

ハンディーで,手に収まる感覚がいいし,カバンにも,その気になればポケットにも収納できるのがいい.いつでもどこでも読める気軽さと,文庫本を持ったときの感覚というのが私にはツボなのである.

残念だが,ペーパーバックでもこれは無理である.(だいたい,ペーパーバックは紙質が悪いし,大きさも中途半端)

片手で持てる適度な厚さで,栞代わりの紐がついてあるのがいい.その点,新潮文庫はよい.とてもよい.

最近はiPadを活用しているおかげで,電子書籍に触れることが多いのだけれど,それでも文庫本は文庫本で買っておきたいものである.まだまだ紙の本も買いまっせ.

というわけで,1Q84はディーラーでタイヤ交換中(スタッドレスから夏タイヤに代えたのだ)に読み,今は就寝前にウイスキーのロック(最近は安いし,味もいいしということで,ブラックレーベルかシーバスリーガルばっかり飲んでいる)を片手に読むのが楽しみなのである.

アルコールが身体に染み渡る感覚と,言語学で疲れた頭に程よく入ってくる力の抜けた文体に物語の中に引き込まれると,

「うん,これだ」

という感覚を感じる.

イギリスにいたときには,時々「村上春樹をオリジナルで読めるなんて羨ましい」と言われることがあったのだけれど(この業界の研究者はけっこう読んでいる),それは確かにそう思う.

実に分かりやすくて独特な比喩,全然小難しくもない文体なのだけれど,それでも深く大きな闇と謎のようなものを掴ませようとする,ストーリーテリング.

頭脳をそれほど活用させているわけでもないのだけれど,肝心な部分はきちんと活動しているような感覚を,村上作品を読んでいる時には感じます.

まぁ,こういうのは人それぞれだし,村上春樹さんはやたらとアンチが多いのは知っているのだけれど(今の同僚さんにも,村上春樹の名前が出ただけで,声を荒げる程に嫌う人がいます.けっこうびっくりした),私には好きなもんは好きだしねとしか言えませんね.

1Q84は書評も情報も極力入れないようにしていたのだけれど,けっこういいですね.比喩の切れ味も良いし,2つの物語の同時進行の形は世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドを思い出してなかなかよい感じである.若い頃の勢いたっぷりの作品もいいのだけれど,最近は円熟味が出てきた感じでいい味がする.

というわけで,しばらく本務校の仕事は忘れることにします.どうせ,来週からはくだらない会議が目白押しなんだし.

ちなみに,今日の夕食は10分ちょいで全てできちゃいました(鯖の生姜煮,冷や奴とミョウガ,インゲンのゴマ和え,トマトとサラダ菜のフレッシュサラダ,作り置きのなめこと三つ葉の味噌汁).妙に手抜きをしたような気分になるのだけれど,まぁ,いいか.時間かからなかったんだし.

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