2011/02/12

イギリスの教育

えっと,ケンブリッジなんですけど,学費を3倍の9000ポンドにまで値上げする話が出ているみたいですね.

Cambridge `planning to raise fees to £9,000'

イギリスの大学授業料に関しては,知らない人の方が多いと思うので概観しますと.

実は20世紀末まで,イギリスの大学授業料は無料で,98年から年間授業料£1,000を徴収するようになって,そのままなし崩し的に授業料が徴収されるようになりました.

格差は大学にもよりますけど,例えば,ヨーク大学だと2010年度の学費はユーロ圏内の学生で年間£3,290,ユーロ外で£11,,300から£14,850という数値になっております.

まぁ,ほんの10年ちょい前までタダだったのがいきなり9000ポンドだなんて酷い話だと思いますけど.(日本の国立大学も,私が生まれる前の頃は年間で10万円を切っていたのに,今では50万円を越えてますもんね)

実は学費の急激な値上げはケンブリッジだけではなくて,去年末にはロンドンで暴動なんかも起こっているので,わりとイギリス全土の話みたいです.

これにはけっこう理屈というか,理由もあって.

一番は,金融で金を転がして儲けてきたイギリス経済が,リーマンショックでアメリカ経済と一緒に大打撃を受けたということ.

後は,授業料の回収の見込みがあるということ.

世界的に見て,経済格差と学力格差に相関関係が見られるということは,有名な事実なのだけれど,イギリスではこの種の階級格差が特に酷くて,所謂オックスブリッジ(オックスフォード大学とケンブリッジ大学のこと)に行く学生の家族は裕福であるということが知られています.

まぁ,そういうわけで,ちょっと授業料を増やしてみましたといったところで,学生の質が急に悪くはならないであろうという予測が立てられるというのが大きい.

この徴収した授業料は,貧しい地域の子供達の教育に生かすというビジョンがどうやらイギリス政府にはあるみたいだけれど,まぁ,富の再分配を利用して,教養層の質と量を高めようという試みが背景にあるということは間違いない.

あとは,イギリスの大学業界でまことしやかに囁かれている「ディプロマミル商売」をケンブリッジやオックスフォードが推し進めているということもある.

実は(アメリカでもそうだが),イギリスで修士号を取るというのはけっこう簡単なんです.

必要なのは一にお金,二にお金,三四がなくて五に語学力といった案配.

前述したとおり,イギリスの授業料はEU圏内と圏外で随分と差があります.

圏外の人たちは,ぶっちゃけ「お客様」で,たくさん授業料を払ってくれればそれでいいというのがイギリスの大学の本音です.

要するに商売で学位を売っているようなもので,ごくごく簡単に有名大学の修士号が手に入れられるので,これを「ディプロマミル商売」と言っている大学関係者がイギリスには凄く多いのです.

実質,そんなもんかもしれないですが.

例えば,日本の大学なんかだと,海外で修士号を取ってきたと言えば,特に年配の人たちの間での評判がよろしいので,そのまま「箔がつく」ということになります.実際,イギリスの修士号だけという学歴で「教授」になっている先生方も大勢います.

内実はたいしたことがなくても,実際,そんなもんです.

自分たちの大学の学位にそういった価値があるということを,イギリスの大学も分かっているので,修士号の大安売りをやっているわけですね.

まぁ,この種の事実を白日の下にさらすなんてことをすると,日本ではトラブルメーカーのレッテルを貼られるだけなので,若い人間は黙っているより仕方がないわけですが.(そのわりにこんなところで文章にしているのですけれど)

もちろん,イギリスの大学も,上澄みの修士号の評価を落としたくはないので,コースを大きく2つに分けています.1つがresearch courseで,これは従来の高いレベルのもので,高い基準の入学審査と修士論文の質が求められる.もう1つがtaught courseで,これはぶっちゃけ無理矢理国際基準に合うようにコースワークを受けさせ,どれだけ適当な論文でも,とりあえず修士号だけあげますというコースです.商売の対象になっているのはもちろん,後者.(時に,taught courseから化けて,優秀な博士の学生になる人がいるということももちろん事実です)

まぁ,そんなこんなで,授業料を上げるメリットはありこそすれ,デメリットは少なそうですよね.(貧しい階級から出てくる少ない数のエリートを拾い上げられrないという点のみです)

なんか歪んでいるような気もしますけど,日本もなんとなく一億層中流から,この種の階級社会に移行している段階のように思われるので,あまりえらそうに言えた口でもないな.

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