2010/05/02

妄想をふくらませる

えと,今の職場に就任して1ヶ月ですが,ちょっとした名物教師になっています.

まぁ,正直に言えば,大阪弁を喋るというだけでも,随分なアドバンテージなので(簡単に笑いが取れる),いわゆる,ローカル人気みたいなもんなんじゃないかって思います.珍しさとでも言えばいいのか.正直,同じ感じで東京近辺に行っても同じようには通用しないだろなって思います.

それと若いというだけで重宝されてますけど,これもまぁ,教員の年齢構成だとか性別みたいなのも関連しているところが多分にあると思う.東京近辺のおっきな大学だとたぶん,そこらの教員のワン・オブ・ゼムでしかないんじゃないかと.

授業や話も分かりやすいというもっぱらの評判だけど,これも何せ大学の学部の頃から集団塾での生存競争を生き抜いてきたわけだし,教育産業のトップでもそれなりにやれたという実績もあるし,要するに分かりやすく喋るという訓練の賜なのであろうと思う.

正直に言って,うちの大学は(てか,たぶん,聞くところによれば北海道全域で)授業や喋りの上手な先生の数が圧倒的に少ないし(時に廊下から見える授業では,黒板や教壇と話をしている教員たちが目につく),端的に言って教育力という点において,あんまりたいしたことがない大学なので特筆されているだけなんじゃないかと思う.

同じ業界の人間でも,同年代(少ないけど,そりゃ),先輩,そして恩師といった人たちの多くが上手に授業をやってのける実力があるということは知っているので,まぁ,そんなに過信するというか,「俺はすごいぜ」という気になることは本当に全然ないです.(そう思えるようになりたいとは思っているのだけれど)

そんなこんなで,単なる学生さんたちの噂話の域を超えないのだけれど,NHKかどっかテレビかラジオで講師をやれば人気が出るんじゃないかとかいう話題が持ち上がったりしました.

まぁ,最初に直球で本音を言わせてもらうと,そんな仕事やらない方がいいと思います.そこまでの力量があるわけでもないし,例えば自分がラジオ英会話で活用した大杉正明さんみたいな明快で興味深い番組はちょっと作れないのではないかと思う.それにラジオはともかくテレビには出たくない.(まぁ,テレビ局の方が「おまえなんか出すか」って意見なんだろうけど)

それにそれに.

いくらお金が手に入るとはいえ,自分に道化を演じる気概はないんじゃないかって思いますね.

特に最近は,なんだか知らないけれど,「簡単な外国語学習」ブームで,NHKでもビジネス英語以外はどの外国語もなんか,教育テレビのお子様向けの番組の延長でしかないような感じがしますね.なんだか,内容も何もないような薄っぺらな,上辺だけの.

トークの上手な先生をとりあえず引っ張ってきて,そんでもってどっかのグラビアのきれいな女の子と,いかにも「頭悪い,要領が悪い」という役柄の男性を連れてきて,ピーチクパーチクと中身のない英語をリピートして終わりとか,深みも何もない文法の説明をして終わりとか.

「ハートで感じる」とか,いったい何のことやねん!と,けっこう本気で思う.

明るい雰囲気を演出するのも,楽しい雰囲気を作り出すのも私は全く否定しないけれど,それでもやっぱり中身は重厚でしっかりとした作りの番組をNHKさんには作ってほしいと思う.曲がりなりにも受信料なる税金まがいのお金で作っているわけだから,視聴者を「ぐい」っと掴むだけのものを1つや2つ提供すればいいのに,と思う.

自分が英語が話せないのは全て教育制度が悪いせいで,文法を学ぶのは外国語学習において害だ,だとか,自分が分からないのは全て教師のせいだとかいう人たちが圧倒的多数であるという事実は認めるし,そういう人たちを対象にした方が,短期的な目で見ればそれなりに視聴率を獲得することはできるかもしれない.

しかし.

教育というコンテンツを扱っているわけだから,妙な妥協や媚びなんかを捨てて,数は少なくとも本気で取り組もうとしている視聴者を相手にする方が,長期的な視野で見れば,NHKにとっても利益になるのではないかと思う.

この種の本気の人たちはそもそも根気も能力もあるし,一度がっちりと信頼を掴んでしまえば,教材も毎月購入してくれるだろうし,それに番組も最初から最後まで,時には復習をかねて再放送まで視聴してくれる可能性が高い.それにこういった人たちはNHKに恩恵を受けていると感じれば,受信料もしっかりと払ってくれる上客になるだろうし.

制作サイドと視聴者とのガップリ四つのごまかしのない闘い,そういった番組を作ってもいいというのであれば,喜んで道化になってもいいかなとは思う.

「英語は簡単に分かる,余裕」だとかいったキャッチーなコピーは触れて回らないだろうけど,重厚で中身のあるものを提供し,それによって日本全土に蔓延しているある種の英語教育の迷走のブレを修正する役目が果たせるのであれば,メディアに出てもいいかな,とは思います.

まぁ,別に目立ちたいとか,タレントになりたくてこの業界に入ったわけではないので,淡々と研究に打ち込めればいいなと思っていますけど.

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